【弁護士コラム】 結婚詐欺(婚活詐欺・出会い系詐欺)とは

【弁護士コラム】 結婚詐欺(婚活詐欺・出会い系詐欺)とは

 

【概要】

 

結婚詐欺とは、一般に、結婚する意思がないにもかかわらず、結婚を餌にして異性に近づき、相手を騙して金品を巻き上げたり、返済の意思もないのに金品を借りたりする詐欺行為をいいます。

 

昔から行われてきた典型的な詐欺行為ですが、それが最近では、婚活パーティーや男女が相席する居酒屋やラウンジなど男女が出会う場所、また、婚活・恋活・出会い系サイトやアプリなどネット上で、婚活詐欺や出会い系詐欺というかたちで行われているケースが多くなっています。

 

いずれにせよ共通する点としては、結婚・交際したい意思や恋愛感情を利用して詐欺を行う点にあります。

 

被害者は、金品を騙し取られる財産的被害にくわえて、心まで弄ばれたことによる精神的被害も受けるため、その意味で質の悪い態様の詐欺の1つといえます。

 

 

【結婚詐欺(婚活詐欺・出会い系詐欺)師の特徴】

 

男の詐欺師であれ女の詐欺師であれ、自らのスペック、具体的には学歴や経歴、職業、趣味に至るまで高い条件に偽っていることが多いです。

 

たとえば、男の詐欺師であれば、一流大学を卒業し、一流企業に勤務または会社を経営。医者や弁護士であるということも。趣味はゴルフやマリンスポーツ、車や時計、美術品の収集など偽っていることがよく見受けられます。

 

一方、女の詐欺師であれば、いわゆるお嬢様大学を卒業し、アパレルや美容系の店舗を経営。趣味は華道や茶道、料理など偽っていることがよくあるパターンです。

 

この理由は、まず自らを高い条件と偽って、結婚や出会いを求める異性から魅力的に見せる目的があります。

 

また、のちに金品を騙し取る上で、その時点ではあくまでもいったん借りるだけ、肩代わりしてもらうだけと装うために、返済する能力や財産があることを示す目的もあります。

 

【結婚詐欺(婚活詐欺・出会い系詐欺)師の手口】

 

交際直前または交際後まもなくの時点で、「交際や結婚したいが不都合な障害や問題がある」と打ち明けてくるのが通例です。

 

その不都合な障害や問題というのは、下記のような内容が挙げられます。

 

・親や兄弟が大きな病気や事故に遭ったため手術など必要で多額の医療費がかかる

・親や兄弟、お世話になった上司や先輩に借金があり、立て替えてあげたい

・土地や建物、株式など有望な投資の話、店舗の開業や会社の設立などで資金が必要

 

そして、このようなことを伝えた後のお決まりのフレーズが、

「支払うお金や資産はもちろん持っているのだが、(定期の解約や資産の換金は避けたい、資金繰りのタイミングが合わないなど何かと理由をつけて)現在はそのお金がたたま用意できないので、いったん立て替えてほしい。すぐに返すから。」

というものです。

 

交際直前または交際後まもなくという点で恋愛感情が芽生えていること、また、偽りであるものの返済する能力や財産を示していることから、すぐに返してくれるなら立て替えてもという気持ちにさせるように仕向けさせるのです。

 

それでも渋る場合には、「交際する相手、将来結婚する相手を信じてくれないなんて・・・」などと追い打ちをかけてきます。交際したい、結婚したいという気持ちを逆手に取るためです。

 

また、そもそも手持ちがないと言った場合には、クレジットカードや金融機関のキャッシュカードのキャッシング枠を使うように促したり、なかにはカード自体を作成してほしいとまで伝えてくる詐欺師もいます。

 

このように何とかしてお金を引き出そうと詐欺師は行動してきます。

 

それから、いざ立て替えるとなると、金銭の引渡し方法について現金手渡しを要望してきます。振込となると証拠が残ってしまうからです。

 

ただ、いわゆるトバシの口座を持っている場合には、振込でも大丈夫と言ってきますが、振込先は他人名義の口座であることがほとんどです。

 

そうして、いちどでも金銭を渡してしまうと、詐欺師は「あと少し足りない」「追加でどうしても必要になった」などと言ってさらに要求してきます。

いちど金銭を渡してしまったことで心理的ハードルが下がっていることにつけこみ、巻き上げられるだけ巻き上げようという魂胆です。

 

その後は、取れる限りの金銭を取り切った、また、そうでなくても返済の催促を執拗に言われる、詐欺ではないかと疑われていることに勘付いたりすると、徐々に距離を置きはじめ、会う頻度や連絡回数を減らしていきます。

結果、最終的には連絡しても連絡がつかない状態になります。

 

なお、お金を巻き上げるまでに、待ち合わせ場所では職場付近、デートでは自宅やその付近を詐欺師は選びません。職場や住所を偽っているので、それがバレることを防ぐためです。

 

【結婚詐欺(婚活詐欺・出会い系詐欺)に遭わない対策】

 

出会いの段階では、スペックが高ければ高いほど、具体的な話を聞くのがいいでしょう。

 

まず、もらえるなら名刺をもらう。もらえなかったとしても、企業に勤めているなら企業名はもちろんのこと役職や部署、会社や店舗を経営しているなら社名や店舗名に所在地、また、仕事内容などを聞き出せる限り聞き出すのがベターです。

このとき、聞いても仕事の話を避ける、抽象的な内容に終始するなら、疑った方がいいかもしれません。

 

再度会う約束をした段階では、その日までに出会った際に相手が話していた内容について、辻褄が合っているのか調べておくのがよいです。

 

ネットで名前をはじめ勤務先、会社や店舗について検索するのもさることながら、会社や店舗を経営しているのならば、その所在地に出向いて現実に存在するか確認してみたり、登記を取得するのもいいかもしれません(登記は法務局に行けば誰でも取得可能です。)。

 

実際、「名前を検索したら、詐欺被害を案内するページに載っていた」「会社や店舗が存在しなかった」「存在していたが、住所や代表者名が違った」などで未然に詐欺被害を防止できたケースがあります。

 

あわせて、連絡先を交換していて、その日までに電話やメール、 SNS等でやり取りを行う場合には、仕事の話はもちろん、家族構成や生い立ちなどをそれとなく尋ねて、相手の情報を集めておきましょう。電話する場合、慎重を期すなら録音しておくのもいいかもしれません。

もし詐欺師であった場合に、詐欺師を追いかけるのに役立つ情報になり得るからです。

 

さらに、お金を要求してきた段階では、絶対にすぐに渡してはいけません。家族や友人などに相談して意見を聞きましょう。

この段階になると、恋愛感情が芽生えているため、自身では冷静な判断ができないからです。

 

そして、どうしてもお金を貸す、立て替えるとなった段階では、弁護士に相談すべきです。

弁護士に相談することで、詐欺かどうかのアドバイスを受けることもできますし、必要であれば借用書(金銭消費貸借契約書)を弁護士が作成することも可能だからです。

 

 

【結婚詐欺(婚活詐欺・出会い系詐欺)に遭っているかもと思った場合の対応】

 

相手方とまだ連絡がつながっている場合には、詐欺だと疑っていることを気づかれてはいけません。詐欺だと疑っていることに気づかれると逃げられるからです。

 

そして、一刻も早く弁護士に相談しましょう。

相談した結果、詐欺の疑いが濃厚となった際には、弁護士は依頼を受ければ、たとえば待ち合わせ場所に同行するなどして、相手方と返金交渉を行うことができます。

 

一方、相手方と連絡がつかなくなった場合も、直ちに弁護士に相談すべきでしょう。連絡不通の期間が短ければ短いほど、相手方を見つけられる可能性が高いからです。

 

なお、警察に相談に行くのも1つの手段でありますが、刑事事件としての詐欺、特に結婚詐欺(婚活詐欺・出会い系詐欺)を警察が事件として取り扱うことはなかなかありません。

恋愛感情があることから単なる民事上の男女トラブルとみられたり、詐欺の疑いがあっても証拠に乏しいことが多いので事件として立件するのが難しいからです。

ただし、同じ相手方で複数の被害届が出ているような場合には、詐欺として捜査が進められることもあります。

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