【2020年最新版】借用書(金銭消費貸借契約書)の作り方~テンプレあり~

親しき仲にも借用書あり!!

家族・親族や恋人・友達・知人、同僚・職場関係など、案外お金の貸し借りをする機会は多いかと思います。
その金額は、数千円程度のものから数百万円、場合によっては数千万ということもあるでしょう。

そして個人間での貸し借りであるため、その信頼関係からいわゆる口約束でお金を貸すことも往々にしてあるのが実情です。

もっとも口約束であっても、しっかり約束どおりに貸したお金を返済してもらえれば何も問題はありません。

しかしながら金銭トラブル、すなわち貸したお金が返ってこない状況になってしまう最も多いケースは、残念ながら個人間、特に親しい者同士での貸し借りのケースです。

具体的には、相手方が、「そもそも借りていない」または「もらったものだ」などの言い訳や無視を決め込まれたりすることもをあるでしょう。

そこで証拠をつきつけようにも、上記のとおり信頼関係から契約書を作成していなければ、いつにいくら貸したのか、返済期限はいつだったのかなどを証明することは困難です。
その結果、実際は貸したにもかかわらず返済がないまま、泣き寝入りせざるを得ないこともありえます。

したがって、このような泣き寝入りとならないためには「親しき仲にも借用書あり!!」ということができます。

以下、借用書について具体的に説明したいと思います。

借用書(金銭消費貸借契約書)とは!?

「借用書」とは、お金の貸し借りについてその内容を明らかにする書面のことをいいます。
他の言い方では、「金銭消費貸借契約書」ともいいます。

そして名称は別にして、お金の貸し借りについて法律上必要とされている事項が漏れなく記載されていれば、それはお金を貸し借りしていた、すなわち金銭消費貸借契約をしていた証拠となる契約書面となります。

逆にいえば、法律上の必要事項に漏れがあれば、お金を貸し借りしていた証拠とならない可能性があります。
また必要事項が漏れなく記載されていたとしても、後述する注意点をしっかりとチェックしなければ後々に揉めることもあり得ます。

そこで,以下では,実際にどのような契約書を作成したらいいかについて解説します。

借用書(金銭消費貸借契約書)の作り方

まず、下記が法律上要求されている事項にくわえ、実務上で最低限といえる事項を記載した「借用書(金銭消費貸借契約書)」となります。
以下、順に説明いたします。

タイトル(表題)

タイトル(表題)部分については法律上要求されているわけではありませんが、何の契約書かがすぐに見てわかるように実務上は記載されることが通例です。
なお、こちらは金銭消費貸借契約と記載していますが、たとえばそのまま「借用書」というタイトルでも問題ございません。

前文

前文は、当事者が誰であるか、契約の目的・概要が何であるかを記載する部分です。
当事者の記載については、債権者となる貸主を先(以下「甲」となる部分)、債務者となる借主を後(以下「乙」となる部分)の順序で記載します。

本文:第1条(金銭消費貸借の合意)

こちらは金銭消費貸借を合意したことを証するために、貸主(甲)が借主(乙)に対し、いつ、いくらの金額を貸したのかを記載します。
なお借主(乙)が「借り受けた」との記載は法律上必要とされていませんが、疑義が生じないよう念のため記載しています。

本文:第2条(返済期日)

返済期日については、法律上は定めることも定めないことも可能です。
当事者間で定まっている場合には、その返済期日を記載します。
一方、定めなかった場合は記載せず空欄にしておきます。
なお後述するよう、返済期日の設定においては慎重に判断すべきところがあるので要注意です。

後文

後文とは、上記の契約が成立したことを証するために、契約書原本の作成枚数(通数)及び保有者、署名押印の記載者を記載する部分です。
基本的には、両当事者が署名押印し、契約書原本をそれぞれ保有します。
それぞれ保有する理由は、1枚(1通)だけだと一方当事者による改ざんがあり得るからです。

日付(契約締結日)

日付の記載は、契約が締結された日を明らかにするためのものです。

氏名・住所(署名押印)

こちらについては注意点もあるので、後で述べます。

以上が、もっともシンプルな借用書(金銭消費貸借契約書)となります。

もっとも、支払回数(一括払いか分割払いか)や支払方法(手渡しか振込か)、利息なども決めておきたいということがあると思います。

これらについては、後日公開予定ですので、今しばらくお待ちください。

借用書作成上の注意点1 ~返済期日の設定について~

返済期日につき、いついつまでに返してもらうということが明確に決まっている場合は、問題はありません。

また返済期日を決めなかった場合も、法律上、相当の期間を定めて催告(民法591条1項)、たとえば1か月後に返済してくださいなどと伝えれば、その1か月後が基本的に返済期日となりますので、これも問題ありません。

他方問題となることが多いのは、親族や親友など信頼関係が強い場合によくあるケースですが、とりあえず5年後や10年後などの長期間で返済期日を設定するケースです。

そして何が問題になるかというと、たとえば貸主側に急きょお金が必要になったり、借主との関係性が悪化したなどの事情があっても、その長期間の返済期日がくるまで借主には返済する義務がないからです。

これを借主側の立場からすれば、法律上、定めた返済期日までは返済しなくてよいという「期限の利益」(民法136条1項)があるということになります。

ですので、上記のような返済期日前に返済してもらいたい事情が出てきて、返済してほしい旨を借主に伝えたとしても、借主がそれに応じて返済してくれないかぎりは、返済期日まで待つほかありません。

したがって、返済期日の設定は慎重に決めるべきであって、だいぶ先の返済でもいいと思っている場合は、むしろ定めずに空欄にしておくのがベターといえます。

(返還の時期)
第五百九十一条 当事者が返還の時期を定めなかったときは、貸主は、相当の期間を定めて返還の催告をすることができる。

民法

(期限の利益及びその放棄)
第百三十六条 期限は、債務者の利益のために定めたものと推定する。

民法

借用書作成上の注意点2 ~氏名・住所の記載などについて~

こちらは遠い親戚や知人など関係性の薄い場合にありがちなケースですが、氏名・住所が虚偽の内容を書かれるというものです。
氏名でいえば一文字違ったり、住所が架空のものや他人のものだったりするケースです。

この手の借主の意図は、そもそも踏み倒す気持ちでお金を借りて、いずれは行方をくらますことを考えているのが通例です。

そして虚偽の氏名や住所が記載されると、契約の有効性が問題となりうるうえに、相手を探そうとしても虚偽であるがゆえ見つけられないということにもなりかねず、結果として泣き寝入りせざるを得ないこともあり得ます。

ですので、お金を貸す際には、必ずマイナンバーカードや免許証・パスポートなど顔写真入りの公的な身分証を確認したうえで契約し、その写メやコピーなども保管しておきましょう。

なお、確認した際に未成年者であった場合は、親権者(法定代理人)の同意をもらっていない限り、契約しない方がいいかもしれません。

親権者の同意がない際には、契約が取り消されるリスクがあるほか、取り消された後に返す金額も全額ではなく、現に残っている金額で足りるとされているからです。

また押印については、法律上は要求されていませんが、できるかぎり印鑑登録証明書を確認し、実印で押印してもらうことがベターです。

というのも、実印での押印があれば、判例上、たとえば借主が「他人が書いたものだ」と貸し借りを否定することはまずできないので、そのようなトラブルを未然に防ぐことができるからです。

(未成年者の法律行為)
第五条 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
2 前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。
3 第一項の規定にかかわらず、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする。

民法

(原状回復の義務)
第百二十一条の二 無効な行為に基づく債務の履行として給付を受けた者は、相手方を原状に復させる義務を負う。
2 前項の規定にかかわらず、無効な無償行為に基づく債務の履行として給付を受けた者は、給付を受けた当時その行為が無効であること(給付を受けた後に前条の規定により初めから無効であったものとみなされた行為にあっては、給付を受けた当時その行為が取り消すことができるものであること)を知らなかったときは、その行為によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。
3 第一項の規定にかかわらず、行為の時に意思能力を有しなかった者は、その行為によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。行為の時に制限行為能力者であった者についても、同様とする。

民法

借用書(金銭消費貸借契約書)テンプレート

重要参考事項 ~民法改正~

2020年4月に民法の大改正がありました。

金銭消費貸借契約も改正されていますので、重要なポイントをチェックしていきましょう。

改正前の民法では、金銭消費貸借契約の成立には、実際に金銭の引渡しが必要とされていました。
(なお、これを法律用語でいうと、要物契約といいます。)

しかしながら現実の社会においては、金銭の引き渡しがない状況で契約を結ぶケースが多数ありました。
それゆえ判例上は、当事者間の合意だけで契約の拘束力を発生させる、いわゆる諾成契約の形式であっても契約が成立すると認められていました。

そこで改正後の民法は、これまでの要物契約の形式にくわえて、判例上認められていた諾成契約の形式でも成立すると明文化されました。

ただ、諾成契約の形式で締結された場合、契約書を作成せず口約束だけであったことも多くあったがゆえに、契約した証拠がなく揉めるケースもありました。

このような状況を解決するため、改正民法では、諾成契約の方法で金銭消費貸借契約をするときは「書面」が必要となることが付け加えられました(民法587条の2:下記引用参照)。
この書面というのが、「借用書(金銭消費貸借契約書」です。


わかりやすくいうと改正により、口約束のみのお金の貸し借りの場合は、そもそも有効な契約が成立しないことになります。
ですので、その場で金銭を引き渡さず、先に金銭消費貸借契約を有効に成立させたい場合は、借用書の作成が必須です。

なお前述のとおり、その場で金銭を引き渡す場合、法律上は借用書は要求されていません。
しかし、そうであっても借用書を作らないと先に述べたように、「そもそも借りていない」「もらったもので返す必要がない」などトラブルになることが多いので、やはり借用書を作成しておくことをオススメします。

(消費貸借)
第五百八十七条 消費貸借は、当事者の一方が種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約して相手方から金銭その他の物を受け取ることによって、その効力を生ずる。
(書面でする消費貸借等)
第五百八十七条の二 前条の規定にかかわらず、書面でする消費貸借は、当事者の一方が金銭その他の物を引き渡すことを約し、相手方がその受け取った物と種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約することによって、その効力を生ずる。

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Bio

弁護士 刈谷龍太

グラディアトル法律事務所代表弁護士。
中央大学法科大学院修了。2012年弁護士登録。
離婚・労働・ネット・消費者被害など一般向けのトラブルから、企業法務や経営サポートなど幅広く担当。