エアコン約160台の取り込み詐欺、男4人を逮捕

ニュース内容

東京・渋谷区の会社にうその取り引きを持ちかけ、エアコンおよそ160台、1200万円相当を配達させてだまし取ったとして、男4人が警視庁に逮捕されました。

詐欺の疑いで逮捕されたのは、埼玉県草加市の無職・馬場高道容疑者(47)ら男4人です。4人は、おととしから去年にかけて、渋谷区の空調設備会社に「東京でエアコンの取り引きをしてもらえる会社を探している」などとうその取り引きを持ちかけ、エアコンおよそ160台、1200万円相当を12回にわたって配達させてだまし取った疑いがもたれています。

警視庁によりますと、4人は取り引き当初に代金として数十万円を振り込んで信用させ、だまし取ったエアコンを転売して数百万円の利益を得ていたということです。取り調べに対し、4人はいずれも「身に覚えがない」などと容疑を否認していますが、ほかにも同様の被害相談があり、警視庁は余罪を調べています。

30日 10時41分 TBSNEWS

「取り込み詐欺」とは!?

今回のニュースは、うその取り引きを持ちかけ、エアコンおよそ160台、1200万円相当を配達させてだまし取ったとして、詐欺の疑いで逮捕されたというものです。

これは、いわゆる「取り込み詐欺」で、過去から行われている代表的な詐欺の1つです。

「取り込み詐欺」とは、代金後払いで商品を注文するものの、そのまま支払いをせずに商品を騙し取る詐欺のことです。

そこで今回は、「取り込み詐欺」の具体的な手口や対策について解説したいと思います。

「取り込み詐欺」の具体的な手口

まず「取り込み詐欺」を行う詐欺師は、騙し取る商品を選定します。

商品としては、電化製品や食品、日用品などから転売・換金しやすいものを選ぶことが通例です。
また最終的な目的が騙し取った商品を金銭にすることですので、転売・換金先を事前に見つけていることも多く見受けられます。

あわせて、自らが真っ当な業者であると取り繕うための準備を行います。
たとえば、HPを作成したり休眠会社を買い取るなどして、あくまで実態のある事業者であるよう偽装します。

このように事前に入念な準備をしたうえで、騙し取る相手となるターゲットを選んでいくことになります。

ターゲットの選び方としては、騙し取る商品を取り扱っている複数の業者に取引を持ちかけます。
ここで反応があった業者からは、実際に少数ではあるものの商品を購入します。
もちろんこの際は、代金を先払いで支払い、先に取引実績を作り、信用を得ることが目的となっています。

そして取引を何度か行い、信用が高まったタイミングで、代金後払いで大口の注文依頼をかけます。
後払いの理由としては、資金繰りや納入先の支払い関係などいかにもあるような事情を伝えることが常套手段です。

業者側からすれば、たしかに代金後払いのリスクはあるけれども、取引実績から信用が構築された状況下では、大きな売上が見込める注文依頼を断ることは難しい経営判断となるでしょう。
詐欺師は、業者がこのような状態に陥ることを見越しているのです。

その後、後払いを受け入れて商品を引き渡し、いざ代金の支払時期になっても当然支払われないことになります。
そして連絡しても、行き違いがあって遅れているだけなどの言い訳があるものの結局支払われなかったり、場合によってはもう連絡がつながらない事態ということも往々にしてあります。

以上のように、入念な準備を行い、ターゲットの信用を得てから詐欺を実行に移すところに「取り込み詐欺」の特徴があるといえます。

なお同様の特徴を持つ詐欺としては、投資詐欺、とくにポンジ・スキームが挙げられます。

「取り込み詐欺」に遭わない対策

まず言えることは、初めての取引となる相手については、しっかりと調査するべきでしょう。

たしかに「取り込み詐欺」の詐欺師であった場合、先に述べたとおり自らが真っ当な業者であると偽装していますので、一見は普通の業者に見えるかもしれません。

しかしながらHPや登記、実際に商談時に聞いた情報などを精査すると、不自然な点が散見されることがままあります。
というのも、現実に商売する気がない以上、偽装するにしてもそこまで費用や労力をかけないがゆえにアラが出てしまうということです。
たとえば、HPの内容の薄くいわば突貫で作ったようなものであったり、登記と商談時に聞いた情報に食い違いがあったりなどです。

そして不自然な点が払拭されないかぎり、取引は行わないようにしましょう。

また取引関係にあったとしても、代金後払いで大口の注文があった際には安易に受注せず、なぜ後払いでそれほど多くの商品が必要なのかについて納得いくまで確認すべきです。

具体的には、商品の納入先を教えてもらい、その納入先に対して問い合わせることも1つの手段です。
なお納入先も「取り込み詐欺」に加担している場合もあるので、多くの商品が必要な事情を詳細に確認しましょう。

そこで少しでも不審な点があれば、代金後払いというリスクを負う以上、大きな売上となるにしても受注はやめるべきです。

最後に「取り込み詐欺」に逢ったかもと思った場合には、遠慮なく当事務所にご相談ください。

Bio

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。
東京弁護士会所属(登録番号:50133)
男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。