お金を貸したのに返してくれない!!~弁護士が交渉し全額回収で解決~

1.事案の概要~弁護士との相談に至るまで~

相談者は大阪に住む40代男性で会社役員。
相手方は会社社長

約3年前当時、相談者は会社の取引先で勤めており、そこでは経理部長を任せられていました。
取引先であったため、相手方とは面識もあり、接待で食事やお酒を何度かともにしたこともありました。

そんなある日、相手方から「ウチの会社の財務を担当する役員にならないか」と声をかけられることに。
相談者は悩んだものの、条件がよかったため「今の会社の引継ぎが終わってからでよければ」と返答。

相手方は「それで全く問題ないから」とのことだったので、引継ぎを終えてから入社することに。
契約としては財務を担当する役員で、まずは2年間の契約でした。

相談者が財務担当役員として奮闘を続けちょうど1年半がたった頃。
急きょ予定していた売掛金の入金が遅れることになった一方、支払いの多い月であったので、このままでは一時的に現金がショートすることが判明。

そこで、社長である相手方に状況を説明するとともに資金繰りが必要である旨を伝えました。

すると相手方は、本来自らが会社に貸し付けるかたちで資金繰りをしたいところだが、今は預金を動かせない状況と。
なので申し訳ないが、預金を動かせ次第すぐに返すから私にいったんお金を貸してくれないかとのこと。

相談者は、財務担当役員として会社を窮地に陥らせるわけにもいかず、また相手方から会社に引き抜いてもらった手前もあり、お金を貸すことに承諾。

相手方が社長であり資産を持っていないわけではなく、そして信頼もあったため、借用書はとらずに相手方に現金300万円を手渡しそのまま相手方の会社に対する貸付として処理しました。

その後、いつ返してくれるのかと思いながらも、日々業務が忙しかったことと催促もしづらい立場であったことから、気がつけば役員としての契約期間3か月前に。

今後のこともあったので、意を決して相手方に催促

しかし、まさかの「忘れてた。また余裕あるときに返す。」との回答。
相談者は、「それならせめて借用書だけでも書いてください。」とお願いすると、
「オレのことを信用できないのか!!」と逆に怒り出す始末

このような相手方の態度に、相談者はもう会社にはいれないと思い、契約期間満了で退職することを決意。
そして、もちろん貸したお金を返してもらうべく、債権回収の実績がある法律事務所を探していたところ、当事務所のHPを見つけ無料相談に来られました。

2.弁護士との相談~方針決定~

弁護士は、口頭でもいわゆる金銭消費貸借契約(民法587条)は締結されることを説明。
ただ相手方が争うとなると、証拠が重要になってくることを伝えました。

そこで証拠となりそうなものについて聞くと、通帳の出金記録、相手方からの貸付というかたちではあるものの会社に対する同日同額の入金記録、日記があるとのこと。
相手方の出方次第では裁判となる可能性もあるので、当該証拠は保存しておくようにと助言

一方、相手方は一応「返す」と言っているので、まずは交渉で返金を求めていくことを提案
相談者は、お任せしますとのことでご依頼いただくことに。

方針としては、相手方が社長であることから、まず電話で交渉することに

というのも、社長というのは立場上、自らの風評や信用を重要視しています。
それに対し、家や会社に内容証明を送付すると、親展をつけていたとしても家族や社員が開封する可能性があり、誰かに見られたとなっては信用が損なわれたとして交渉がスムーズにいかなくなる可能性があるからです。

3.受任後の弁護士の活動~解決に至るまで~

依頼を受けた当日、早速相手方に電話
相手方は、ぜひ会って話がしたいとのこと。

依頼者に報告すると、依頼者も同席したいとのことで日程を調整し、相手方と直接対面交渉することに。

弁護士はこちらの言い分を主張すると、相手方から
「全額返済する気ではあるが、少しだけ待ってほしい」とのこと。

そこで弁護士は「少しだけとはどれくらいの期間か」とたずねると、
「今は明確に回答できないので、後日、一週間以内には回答する」と。

弁護士は、まずは金銭の貸し借りにつき、より確実な証拠に残すために借りたことを認める書面に署名押印することを要求。
相手方は承諾し、上記書面に署名押印をもらい、その日の交渉を終えました。

しかし、一週間待ったものの相手方から回答がない状況
弁護士は、いつ頃返済できそうかを電話で催促することに。

すると相手方は、「資金繰りがなかなかうまくいかず・・・」と言うので、
こちらから「あと一週間以内に回答がなければ訴訟も視野に入れざるを得ない。」とくぎを刺しました。

くぎを刺したことが功を奏したのか、相手方の代理人となった弁護士から連絡が
1か月後に全額返済するので、それまで待ってくれないかとの内容。

依頼者に確認をとると、1か月なら問題ないとのこと。
結果、1か月後全額返済され、無事解決に至りました。

4.弁護士からのコメント

まず前提として、どのような関係にあったとしても、お金を貸すことについては慎重に判断すべきです。
よく言われることでもありますが、「貸すならあげるつもり」でというのは的を得た格言です。

現実問題、「貸したお金が返ってこない」というご相談やお問い合わせは毎日いただくほどだからです。
ですので、お金を貸す側としては、返ってこない覚悟で貸すようにすべきといえます。

また貸す場合にあたっては、借用書(金銭消費貸借書)は必ず書いてもらうべきです。
残念ながら、借りたにもかかわらずそもそも借りていないとか貰ったものだなど主張する相手方は今までたくさん見てきています。
したがって、信頼関係がある相手方であれど、用書(金銭消費貸借書)はお金を貸すための必須の条件としましょう。

なお相手方が借用書(金銭消費貸借書)に記載する氏名・住所については、顔写真付きの身分証と記載が同一かどうか確認することも重要です。
最初から騙そうとしたり踏み倒そうとする相手の場合には、虚偽の氏名や住所を記載することもままあるからです。

そして、いざ支払期限を過ぎでも返さない相手方の場合には、できるかぎり早く弁護士に相談することをオススメします。
返済されない期間が延びれば延びるほど、相手方は行方をくらましたりなど回収可能性が低くなる傾向にあるからです。

最後に債権回収でお悩み・お困りの方は、遠慮なく当事務所にご相談ください。

Bio

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。
東京弁護士会所属(登録番号:50133)
男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。