新橋駅近くの土地売却で詐欺容疑 地面師グループ主犯格ら逮捕

ニュース内容

所有者グループに成り済まして土地を売却するいわゆる地面師の主犯格とされる男らが、東京 港区のJR新橋駅近くの土地を売却し、3000万円をだまし取ったとして警視庁に逮捕されました。

逮捕されたのは東京 品川区の無職、内田マイク容疑者(66)ら、男女5人です。

警視庁によりますと5人は、5年前の平成27年、港区のJR新橋駅近くにある、およそ170平方メートルの土地を、所有者に成り済まして千葉県の会社に売却し、手付金などとして3000万円をだまし取った詐欺などの疑いが持たれています。

土地の所有者は50代の女性で、その後、平成28年に死亡しているのが見つかり、警視庁がいきさつを調べましたが事件性はないとされました。

内田容疑者は、いわゆる地面師グループの主犯格とされ、同じ手口で別の土地の売買をめぐって積水ハウスから55億円をだまし取ったとして今月、有罪判決を受けています。

調べに対して内田容疑者は容疑を否認しているということです。

2020年3月25日 13時31分 NHK

弁護士からのコメント

今回のニュースは、地面師らが所有者になりすまして土地を売却し、3000万円をだまし取ったとして詐欺の疑いで逮捕されたというものです。

そもそも「地面師」とは、不動産、特に土地の所有者になりすまして取引をもちかけ、売却した代金や担保に入れて借り受けた金銭を騙し取る詐欺師のことをいいます。

地面師の特徴としては、単独で行われることはまれで、今回のニュースにもあるようグループで行われることがほとんどです。

というのも、不動産の所有者になりすます以外にも、不動産やターゲットを探したり書類を偽造したりなど騙すための準備が多いがゆえに人手が必要だからです。
くわえて、取引に信ぴょう性をもたせるためには、所有者の話を裏付ける関係者を装う役割もいるに越したことはないからです。

また地面師の詐欺を行う手口は、以下のとおりです。

見つけた騙しやすい当該不動産につき、取引に必要な偽造書類や信ぴょう性をもたせるためのストーリーを準備したうえで、相場よりも安い価格で取引をもちかけてきます。
不動産という高額な取引である以上、必要書類や売却・担保に入れることを納得させる話がなければ疑われるであろうし、相場の価格では取引話自体にのってこないことが多いからです。

ただ一方で、急いでお金がいる事情や他にも取引先候補がいることなどを匂わせ、早急な契約締結及び金銭の支払いを要求してきます。
諸々を調査する時間や冷静に判断するための期間を制限することで、詐欺であるかもとの疑いをもつ余裕を与えないためです。

このように地面師はいわば事情があっての掘り出し物であるかのように装い、そうであるがゆえに決断を急いでもらう必要があるとして金銭を騙し取るのです。

地面師の詐欺に遭わない対策としては、うまい話であればあるほど何か裏があると思い、疑ってかかるべきです。

地面師は騙すために入念に準備やストーリーを用意してきますが、そもそもなぜ自らに当該不動産取引がもちかけられたのかを考えるとともに調べることが重要です。

地面師がいきなり取引をもちかけてきたのであれば自らが選ばれた理由、紹介者などがいるならば自らに紹介した理由を考え、調べられる限り調べましょう。

相場より安い価格であれば、多くの取引先候補となる相手はいるはずです。
それにもかかわらず自らが選ばれたとなれば、そこには理由、地面師からすると、金銭を持っていて騙しやすい相手だと思ったからターゲットとして選んだということです。

ポイントとしては、自らの事情を知りすぎていると思った際には気をつけるべきです。
相場より安い価格で取引する相手方のことを、そこまで調べる必要性を見いだせないからです。

最後に地面師による詐欺はもちろん不動産取引で詐欺に遭ったかもと思った際には、遠慮なく当事務所にご相談ください。

Bio

弁護士 刈谷龍太

グラディアトル法律事務所代表弁護士。
中央大学法科大学院修了。2012年弁護士登録。
離婚・労働・ネット・消費者被害など一般向けのトラブルから、企業法務や経営サポートなど幅広く担当。