架空保険に勧誘し1千万円詐取 容疑で元保険業の男逮捕

ニュース内容

架空の保険に勧誘し約1千万円をだまし取ったとして、兵庫県警生田署は6日、詐欺の疑いで大阪府東大阪市の無職の男(40)を逮捕した。

逮捕容疑は昨年12月1日、大阪市天王寺区の無職男性(61)宅を訪れ「キャンペーン中の保険がある。銀行に預けるより利息がいい」「10年預ければ200万円位の利息になる」などとうそを言い、翌日、指定する口座に現金約1千万円を振り込ませた疑い。調べに対し容疑を認めているという。

同署によると、男は当時、神戸市中央区の保険代理店に勤務。被害男性はかつて、男が勧誘した保険に加入したこともあったという。被害男性は振り込んだ後で不審に思い、代理店側に確認したところ、被害が発覚したという。

2020/1/6 20:30神戸新聞NEXT

弁護士からのコメント

今回のニュースは、架空の保険に勧誘し金銭を騙し取る、いわば「架空保険(勧誘)詐欺」を行って、詐欺罪の疑いで逮捕されています。

この「架空保険(勧誘)詐欺」は、保険会社に在職中または退職した従業員が詐欺師となって行うケースが多く見受けられます。

理由としては、まず当然ですが保険の知識を有していることが挙げられるでしょう。
騙す手段となっている保険の説明自体が、保険の知識のない者にはそもそも難しいからです。

また、業務上顧客の財産状況含む詳細な個人情報を知り得ることも挙げられるでしょう。
これは、誰がどれだけの財産を有しているか、どのような家族構成なのかなどを知っていることによって、「架空保険(勧誘)詐欺」の被害者となるターゲットを選びやすいからです。

さらに、自ら担当となっていた顧客との信頼関係が構築されていることも挙げられるでしょう。
信頼関係があることで騙しやすい点に加え、被害者としても騙されているとはまさか思わず、詐欺の発覚が遅れることで金銭を隠したり逃亡することが容易だからです。

「架空保険(勧誘)詐欺」の手口としては、実際にある保険より相当条件のよい話を「優良なお客様だけ」「今だけ」など特別感や限定感を出して勧誘し、かつ契約を急がせてきます
条件をよくしなければ話に乗ってこないし、気分の高揚や時間を焦らせることで,冷静に考えさせないままに騙し取るためです。

また、金銭の支払方法については自ら騙し取るがゆえに、現金の手渡しを要求されたり、個人の口座など保険会社のものではない口座を振込先に指定してきます。

この点、保険会社の口座への振込や直接支払わせないことに対する理由として、まだ会社でも一部の者だけにしか知らされていない商品だからなどと伝えてきます。

「架空保険(勧誘)詐欺」に遭わない対策としては、上記のようにまず実際にある保険より相当条件のよい話で勧誘し、かつ契約を急がせてきた場合には疑ってかかるべきです。

また、勧誘の際に、本来ならあるべきしっかりとした契約書などが用意されてない場合も要注意です。
一般の人には案内していないからなど言い訳をしてくることが考えられますが、それとまともな契約書があるかどうかは別問題だからです。

さらに、支払先が保険会社以外の場合は支払わないようにすべきです。
保険会社の商品である以上、保険会社に支払わないことはまずあり得ないからです。

以上のような点も含め、少しでも不審点があるのであれば保険会社に問い合わせましょう。

最後に「架空保険(勧誘)詐欺」に遭ったかもと思った際には、遠慮なく当事務所にご相談ください。

Bio

弁護士 刈谷龍太

グラディアトル法律事務所代表弁護士。
中央大学法科大学院修了。2012年弁護士登録。
離婚・労働・ネット・消費者被害など一般向けのトラブルから、企業法務や経営サポートなど幅広く担当。