年末ジャンボ1等当たりくじを偽造 銀行に持ち込んだ男を詐欺未遂容疑で逮捕

愛知県警中村署は6日、2018年12月31日に抽選があった「年末ジャンボ宝くじ」の偽造当選券で、1等7億円をだまし取ろうとしたとして、三重県四日市市の無職、山本智章容疑者(42)を詐欺未遂容疑で現行犯逮捕した。この宝くじの換金期限は6日だった。同署によると、山本容疑者は「正規の販売店で購入した宝くじのうちの1枚」と容疑を否認している。

逮捕容疑は6日午後、名古屋市中村区のみずほ銀行で男性行員(40)に対し、偽造の宝くじ当選券を出して当選金7億円をだまし取ろうとしたが、行員に見破られて失敗に終わったとしている。

同署によると、行員から「偽造と思われる宝くじを持ち込んだ客がいる」と110番があった。同署は詳細を明らかにしていないが「ぱっと見ただけでは(偽物と)分からない」という。【田口雅士】

毎日新聞2020年1月6日 21時09分  (最終更新 1月7日 08時32分)

【弁護士からのコメント】

このニュースは、偽造の宝くじ当選券を出して当選金7億円をだまし取ろうとしたが、行員に見破られて失敗に終わったことで、詐欺未遂容疑で現行犯逮捕されています。
そこで、今回は少し趣旨を変えて、詐欺ではなく詐欺に至るまでの偽造について以下解説いたします。

まず、宝くじ当選券の偽造については、「有価証券偽造罪」(刑法162条)にあたります。
有価証券偽造罪は、①「行使の目的」で、②「有価証券」を③「偽造」した場合に処罰され、刑罰として3月以上10年以下の懲役に処せられます。

①行使の目的における「行使」とは、偽造された有価証券を、その用法に従って、真正な有価証券として使用することをいい、その「目的」も、自らだけでなく他人に行使させる目的であっても問わないとされています。
②「有価証券」とは、判例上、財産上の権利が証券に表示され、その表示された権利の行使につき証券の占有を必要とするものとされており、宝くじも該当します。
他の例を挙げると、電車の乗車券やテーマパーク等の入場券、商品券やプリベイトカードも「有価証券」となります。
③「偽造」とは、作成権限のない者が、有価証券の発行等につき、他人の作成名義を冒用して、真正な有価証券の外観を呈する証券を作成することを意味します。
そして偽造の程度は、外観上、一般人をして真正に成立した有価証券と誤信させるに足りる程度のものを作成していればよいとされています。

今回のニュースでいえば、被疑者が作成したとなれば、①実際に銀行に持ち込んで使用していることから当然「行使の目的」があり、②宝くじ当選券という「有価証券」を、③作成権限なく、ぱっと見ただけでは(偽物と)分からない程度に作られた「偽造」といえるので、有価証券偽造罪が成立すると思われます。

なお、行使した点については、行使したことを処罰する「偽装有価証券行使罪」(刑法163条)に該当します。
また、これら偽造の有価証券を作成・行使することは、ほとんどの場合に最終目的が金銭等を騙し取る点にあることから、詐欺罪(刑法246条)の手段となっていることが多く見受けられます。

以上、有価証券の偽造等について説明いたしましたが、上記のとおり詐欺の手段として行われることが多いものの、自ら行使の目的がなかったとしても「有価証券偽造罪」が、興味本位で行使したとしても「偽造有価証券行使罪」が成立する可能性がありますので、安易に偽造や行使することは行わないようにしましょう。

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