埼玉・小川で868万円手渡し詐欺 60、70代男女「受け子」か

ニュース内容

小川署は9日、小川町に住む無職の女性(49)が現金868万円をだまし取られる被害に遭ったと発表した。
同署によると、現金を詐取する「受け子」は若年層が目立つが、今回は60~70代の男女が登場する珍しい展開。被害者に不審感を抱かせないよう高齢者を“起用”する新しい手口とみられる。

同署によると、2日午前、女性の携帯電話に「利用料金の支払いが確認されていない」とのショートメールが届き、記載の連絡先に問い合わせたところ、民事訴訟管理センター職員を名乗る男らから「訴訟を起こされている」などと伝えられた。

信じ込んだ女性は3~5日、JR池袋駅内で2回、東武東上線小川町駅内で1回の計3回、法律事務所職員を名乗る男女に計868万円を手渡した。男は60代、女は70代とみられ、同署は手渡した3回のうち2回は男で、同一人物とみて捜査している。

県警特殊詐欺対策室によると、今年1~9月末に逮捕した受け子は92人で、約8割が10~20代の若年層。うち20代の男が51人で最も多く、次いで10代の少年が21人だった。対策室は「安易に手を出す若者が多いのではないか」と話す。

2019.12.11 07:04 産経ニュース

弁護士からのコメント

振り込め詐欺を代表とする「特殊詐欺」は、年々手口が巧妙化しており、特殊詐欺グループにおけるそれぞれの役割も多様化しています。

そして一般に、特殊詐欺の実行役においては、「掛け子」「出し子」「受け子」という役割が存在します。

まず「掛け子」とは、電話で騙す役割をする人間のことをいいます。
今回のニュースでは、民事訴訟管理センター職員を名乗る男が「掛け子」になります。

次に「出し子」とは、預金口座から現金を引き出す役割をする人間のことをいいます。
今回のニュースでは、手渡しによる被害なので、「出し子」は存在しないことになります。

さらに「受け子」とは、直接現金を受け取る役割をする人間のことをいいます。
今回のニュースでは、法律事務所職員を名乗る男女が「受け子」になります。

このように特殊詐欺の実行役については、それぞれに役割がある中で、特殊詐欺グループが新たな実行役を引き入れる際には、友人や知人の紹介のほか、SNSを利用することが多く見受けられます。
それゆえ、特殊詐欺グループの実行役は、SNSをよく利用する若年層が多いということになります。

ところが今回のニュースでは、実行役の「受け子」が60代、70代の高齢者層でした。

「受け子」は、公的機関や法律事務所など一般に固い仕事と思われている職業を装うので、年齢が増せば増すほど信頼性が高まります。
また、被害者と世代が近ければ近いほど安心感を与えることもあります。

どのように高齢者を引き入れたかは不明でありますが、「受け子」に高齢者層が増えてくるとなると詐欺被害拡大が見込まれます。

ですので、特殊詐欺に遭わない対策としては、特殊詐欺の実行役は若年層だけに限らないと理解し、高齢者であるからといって安易に信用しないようにしましょう。

最後に「特殊詐欺」に遭ったかもと思った際には、遠慮なく当事務所にまでご相談ください。

Bio

弁護士 刈谷龍太

グラディアトル法律事務所代表弁護士。
中央大学法科大学院修了。2012年弁護士登録。
離婚・労働・ネット・消費者被害など一般向けのトラブルから、企業法務や経営サポートなど幅広く担当。