投資詐欺の疑いから、弁護士が同席交渉した結果、借用書を締結し解決に!!

1.事案の概要~弁護士との相談に至るまで~

相談者は40代男性。
相手方とは20年来の友人関係。
混み入った相談があるとのことで、実際に会って聞くことに。

実際に会って話を聞くと、相手方は音楽関係の会社を経営しており、定額でライブ行き放題のサービス事業を始めようとしているのこと。

しかし、そのためには、全国各地のライブハウスと提携することが必須であるが、その提携費用が現在捻出できないと。
そこで、その提携費用を出資というかたちで投資してもらえないかとの相談でした。
相談者としては、定額でライブ行き放題とのサービスは斬新だったので、興味を持ちました。

すると、相手方は、他の会社が同じサービスを少しでも先に始めてしまえば2番煎じになり、先行者利益は得られない。
それゆえ、何よりスピードが重要と。
そして、このサービスが軌道に乗れば、月々定額の入金が見込めるから、金利とともに返していくので、なんとか支援をしてほしいと頭まで下げられました。

結局、相手方を信頼し、必要とする提携費用600万円を出資のかたちで振り込むことに
ただ、急いでいたことと20年来の友人関係であったこともあり、後日、契約書等は作成することになりました。

振り込んだ後、契約書の作成の話になると、相手方は多忙を理由に時間を作ってくれず。
そして、口約束では1回目の支払期限であった日にも、入金はなく
そこで友人から投資詐欺に遭ったかもしれないと心配になり、弊所のHPを見つけ相談に来られました。

2.弁護士との相談~方針決定~

まず前提として、投資話には、その金銭や成功に関する欲を巧みに利用し、詐欺を働く人間が少なからずいることを説明しました。

今回のケースは、20年来の友人関係ということもあり、実際は不明ではあるが、少なくとも契約書すら締結しておらず、かつ1回目の支払期限にも入金がないことからして、投資詐欺の可能性があることを告知しました。

相談者は、投資詐欺であるかどうかは別にしても、月々返済する契約書を締結してほしいということでご依頼をいただくことに。

方針としては、相手方とは近々会うとのことで、弁護士が同席の上、交渉し、可能であればその場で契約書を締結することに。

なお、取引履歴、今までのメールなどのやり取りは、訴訟の可能性も踏まえて、すべて保存しておくことを依頼者に伝えました。

3.受任後の弁護士の活動~解決に至るまで~

相手方と会う前日に依頼者と打ち合わせ。

依頼者の要望としては、出資というかたちで相手方に振り込んだが、分割払いでいいので月々返済され、もし分割払いに遅れた場合には、相手方に何かしらのペナルティーを与える契約書にしたいとのこと。

そこで、弁護士としては、 いわゆる借用書(金銭消費貸借契約書)で作成することを打診。

そして、分割払いに遅れた場合には、遅延利息(遅延損害金)を支払う条項を加えることを提案。
さらに、一定の期間支払いを怠った場合、以後、分割ではなく一括で支払わなければならないとする、期限の利益を喪失する条項も案内しました。

依頼者は、上記2つの条項を追加した借用書を作成することを承諾し、当日持参することに。
ただし、当該契約書に署名押印するかは、最終相手方に委ねられることを説明しました。

いざ当日、弁護士が同席の下、相手方と交渉を始めると、まず依頼者から相手方に600万円が振り込まれたことは認めました。

また、相手方としては、契約書を作成しない気も、ましてや支払わない気もなく、本当に多忙で対応できなかったと。
こちらとしては、投資詐欺の疑いを持っていたこと。
その疑いから、出資というかたちであったが、契約書は借用書で作成したいこと。

さらに、遅延利息と期限の利益喪失の条項を付け加えたものに署名押印してもらいたいと要望。

相手方は、今まで迷惑かけたことを謝罪し、こちらの要望をすべて受け入れることに。

そこで、その場で弁護士が持参した借用書に署名押印いただき、無事解決するに至りました。

4.弁護士からのコメント

投資の話については、いつの時代も残念ながら詐欺を働く者がいることが過去の歴史から証明されています。

今回は、結果として投資詐欺ではありませんでしたが、芸能や音楽関係に関する投資詐欺は多く見受けられます
というのも、芸能や音楽関係に憧れ・願望を持っている人が少なからずいてることから、詐欺師としてはその感情を利用することで通常の投資詐欺より騙しやすい点があるからです。

ですので、その意味で、芸能や音楽関係に関する投資話にはより注意が必要です。

一方、今回のケースは、20年来の友人関係ということもあり、投資詐欺として即座の返金ではなく、契約書の締結に主眼を置いた事例でした。
その中で、依頼者の要望で追加した遅延利息(遅延損害金)条項と期限の利益喪失条項について説明いたします。

まず、「遅延利息(遅延損害金)」とは、今回の金銭消費貸借契約のように金銭債務の不履行の場合に、通常の利息とは別に損害賠償として支払わなければならない金銭のことをいいます。

損害の証明がなくても、また、不可抗力の場合でも支払わなければならない性質のものなので、債務者にとっては大きなペナルティーとなります。
それゆえ、債務者としては支払期限を守らなければならないとする動機になります。

他方、「期限の利益喪失条項(約款)」とは、一定の事由が生じた場合に、期限の利益を主張できなくさせる条項です。

そもそも「期限の利益」とは、期限がまだ到来しないことによって当事者が受ける利益のことを指します。
金銭消費貸借においては、一般に、支払期限が到来するまでは支払いを請求されない債務者の利益ということになります。

そして、一定の事由とは、一定の期間や金額の支払を怠った場合に、期限の利益を喪失するというのが通常です。
ですので、分割払いで債務者が期限の利益を喪失すると、以後は、分割ではなく一括で支払わなければならなくなります

こちらも、債務者にとって支払期限を遵守する強制力になります。
また、債権者にとっても、もしもの場合にすぐ全額の回収に動けるというメリットがあります。

このように、契約書の締結1つをとってみても、それぞれ依頼者の要望があります。

今回のケースは、依頼者の要望をそのまま受け入れてくれましたが、相手方によっては、修正や変更しない限り署名押印しないと主張する者も出てきます。

その際には、弁護士が交渉により相手方を説得したり、場合によっては、相手方の主張も受け入れつつ、いかに依頼者に有利な契約書を作成・締結するかがポイントになってきます。

その意味で、ノウハウや実績など弁護士の力量が問われるところといっても過言ではありません。
そして、弁護士の力量は、どの分野の事件に多く携わってきたかにより、大きく影響されます。

結果として、当事務所が設立当初から詐欺被害・債権回収に多く携わってきたことによる実績とノウハウが生きた事例
でした。

最後に、投資詐欺に遭ったかもと思った場合には、遠慮なく当事務所にご相談ください。

Bio

弁護士 刈谷龍太

グラディアトル法律事務所代表弁護士。
中央大学法科大学院修了。2012年弁護士登録。
離婚・労働・ネット・消費者被害など一般向けのトラブルから、企業法務や経営サポートなど幅広く担当。