オーナー商法をうたう投資詐欺の相手方会社から、破綻・倒産前に8割返金!!

1.事案の概要~弁護士との相談に至るまで~

相談者は20代男性。
相手方会社とはある知り合いがきっかけに。
近日、投資に関するセミナーがあると誘われて参加。

セミナーにおいて、相手方会社は、次世代の空調機器を開発し特許申請中で、独占販売が可能とのこと。

しかし、開発に思いのほか費用がかさみ、せっかくの空調機器を自ら大量に作成して販売する費用を捻出するのが厳しい現状。

ただ一方で、少量だけでも一度販売してしまえば、特許があるといえども、いずれ同様の空調機器がマネして作られるのは目に見えるもの。
それでは第一人者としてのブランドを築き上げることができず、長期的にみて一定以上の事業成長はなく、結果として選択できないと。

そこで、短期的には利益が減るが、紹介限定で、会社事業の賛同者にオーナーとして空調機器を複数台まず購入してもらう。
そして、その空調機器を相手方会社が他の会社や店舗に販売できれば、1台あたりで数年間にわたり月々一定額を賛同者に入金する。

簡単にいえば、賛同者にとっては当初まとまったお金を支払うことが必要だが、ある程度の期間が経てば全額戻ってきて、その後はすべて賛同者の利益になるという事業方針を相手方会社は決定したとのこと。
なお、既に全国複数で事業所を立ち上げ、営業の人員も増やしている状況にあるので、あとは空調機器さえあれば足りるとの話でした。

相談者にとっては魅力的な投資話であったが、残念ながらまとまったお金がなかったので断ろうと。

すると、知り合いが、「手持ちがない人間の中には、借金をしてまで購入した賛同者までいる。何を隠そう自身も消費者金融で借り入れして購入した。」と告白。
また、相手方会社からは、今回の賛同者の人数次第によってはこれで打ち切るかもしれないとのことで、次回のセミナーがあるかどうかは現状白紙との案内も。

これらの状況もあって、相談者は意を決して、消費者金融に借り入れを行って賛同者になることを決断。
相手方会社に賛同者となることを申し込み、後日、消費者金融から借り入れ、総額150万を振り込みました

その後、1回目の支払期限には、販売されたとする台数に合わせた金額が相談者に入金。

しかし、2回目の支払期限には入金がありませでした。
相手方会社に問い合わせると、手続のミスで遅れているだけとのこと。
そこで、入金を待っていると、1回目の半分の金額があったのみでした。

再度、相手方会社に問い合わせると、諸々の処理に時間がかかっているが、2回目の残額も近々に入金するのでお待ちくださいと。
しかし、待てど暮らせど入金はありません
業を煮やして、さらに相手方会社に問い合わせると、急きょ担当が変わったのでもうしばらくお待ちくださいとのこと。

さすがに不安になり、インターネットで検索すると、返金トラブルや訴訟になっているとの書き込みが。
これはもしや投資詐欺に遭ったのではないかと思い、弊所のHPを見つけ相談に来られました。

2.弁護士との相談~方針決定~

まず前提として、紹介やセミナーを通じた投資話には、その金銭や成功に関する欲を巧みに利用し、詐欺を働く人間が少なからずいることを説明しました。

そして投資詐欺を行う者の常套手段として、まず紹介や人数限定など世間にまだ出回っていない情報とアピールすることで、今すぐ投資すべきと焦らせる傾向にあります。
また、そのため容易かつ確実に短期間で儲けることが可能と伝え、投資に対する抵抗・ハードルも下げさせてきます
さらに、セミナー等で周りの人間と仲間意識を持たせることで、安心感を与えます

まさに今回のケースも同様の手口であったこと、また当初か数カ月だけ入金や支払いを守って、その後は何かと理由をつけて支払わないようにする傾向が詐欺の通例であることから、投資詐欺の可能性が高いことを告知しました。

ただ一方で、ネットの書き込みにあった返金トラブルや訴訟が現実に起こっていたとなると、早晩、相手方会社が倒産や破綻するおそれもあるので、どこまで返金交渉できるかわからないリスクがあることも伝えました。

相談者は、このまま入金されないまま泣き寝入りだけはしたくないとのことで、上記リスクを踏まえたうえで 、ご依頼をいただくことに。

方針としては、相手方は登記も登録している会社であり、住所等判明しているので、早急に内容証明を送付し、交渉をすすめていくことに。

なお、契約書や振り込んだ取引履歴、今までのメールなどのやり取りは、訴訟の可能性も踏まえて、すべて保存しておくことを依頼者に伝えました。

3.受任後の弁護士の活動~解決に至るまで~

早速、受任した当日に相手方に対し内容証明を送付

内容証明到達後、相手方から連絡が。
返金処理については、基本的に60日後に行う運用になっており,具体的な時期と金額については,2週間以内にFAXで送るとのこと

しかし,2週間を過ぎてもFAXが届かなかったので、すぐに状況確認のため相手方会社に架電。
担当が不在で・・・との言い訳を伝えてくるも、期限を守らない理由にならないと一蹴し、本日中にFAXを送るよう念を押す。

すると、ようやくFAXが届き、内容を確認すると翌月に3回に分けて全額を返金するとのこと。

そこで、依頼者に報告。

弁護士の見解としては、当事務所でも調べたところによると、ネットの書き込みにあったよう返金トラブルや訴訟が提起されていることは、どうやら真実の模様
あわせて、今までの交渉の中身・態様からして、お金がまともに回らなくなり、交渉しなくなるタイムリミットも近々来るかもしれないことを告知

それゆえ、口惜しいところではあるが、時間をかけて全額返金を求めるよりも、相手方が自ら提案したスケジュールより早く返済するのであれば、一定程度の返金で譲歩することも視野に入れてみてはと提案
検討した結果、9割返金するのであれば、その金額で譲歩することに依頼者は決定しました。

決定後、弁護士から相手方に対し、翌月ではなく今月中に9割返金するのであれば、その金額で譲歩することを伝えました。
相手方はいったん検討すると。

その後、相手方から今月中に9割返金は厳しいが、今月1割、翌月8割なら返金できる見込みとのこと。
弁護士は、話にならないと伝え,再度検討するようにその場で回答。

再度検討した結果、今月中に払える最大限が2割、翌月7割を返金予定と。
依頼者の承諾ありきだが、翌月前半に7割返金するのであれば、依頼者が受け入れられるかどうか話してみると返答。
担当者曰く、上に最終確認必要だが、自らの責任で何とか翌月前半に7割返金するよう進めることを約束。

なお、もし今月中に2割の返金がなければ、次の法的措置をとることも視野に入れる旨申し添えました。

依頼者に報告し、まずは返金されるか待っていると、相手方から2割の返金が。

そして、入金を確認した旨伝えるとともに、翌月前半に7割の返金ができるかどうかを確認。
すると、担当者は、上に確認したもののやはり7割返金は厳しいと。
では、何割なら返金できるのか尋ねると、可能な限り返金するが、具体的な金額は案内できないというのみ。
この際の交渉はこれ以上平行線だったので、話を終え、依頼者に報告。

具体的な金額も提示できない状況になったことからして、お金が回っていないことが推測され、もういつ交渉できなくなってもおかしくないことを伝えました。

依頼者としては、全額返金されることに越したことはないが、先延ばしにされて破綻や倒産されるより、できる限り交渉してもらって少しでも多く返金を要望。
弁護士は、依頼者への返金が最優先されるよう粘り強く交渉することを約束しました。

約束した当日から、毎日相手方に連絡し、早急に返金するように交渉
何度も何度も連絡したことで、当初は頑なな態度であったものの、こちらの本気度が伝わったのか、優先的に返金する意向であることは確認
現状を依頼者に報告し、その後も引き続き相手方会社に連絡していると、約束の期限の間に6割の返金が

残り2割の返金については、いつになるかを相手方会社に確認すると、現状で最大限返金したので、残金については金額も期限も回答できないとのこと。
そうであれば、次の法的措置を取らざるを得ないと伝えるも、回答は変わらず。

その後も、毎日連絡するも同じ回答のみで、徐々に担当者が不在になり、ついには連絡すらつかなくなりました。

そこで、依頼者に報告し、次の法的措置を取ることも可能だが、残り2割の返金について、訴訟など追加の弁護士費用をかけてまで回収できる可能性は、まともに連絡がつかない状況では厳しいことを告知。
依頼者としては、回収可能性がそこまで厳しいのであれば、既に8割返金されていることもあり、ここで交渉を終えることを承諾。

これにて、全額返金とはならなかったものの、事件は終結するに至りました

4.弁護士からのコメント

投資の話については、いつの時代も残念ながら詐欺を働く者がいることが過去の歴史から証明されています。
投資詐欺を働く者は、時代に合わせて、投資の対象や内容、連絡手段などを変え、騙し取る被害者を探し出しています。
近年では、最新のFXや仮想通貨などを対象に、SNSを用いて探している傾向が多く見受けられます。

今回のオーナー商法を用いたケースは、 投資詐欺の一種である「ポンジ・スキーム」に類似しています。

「ポンジ・スキーム」とは、「出資してもらった資金を運用し、その利益を出資者に(配当金などとして)還元する」などと言っておきながら、言っていることとは異なって実際には資金運用を行わず、後から参加させる別の出資者から新たに集めたお金を以前からの出資者に『配当金』などと偽って渡すことで、あたかも資金運用が行われ利益が生まれてそれが配当されているかのように装う詐欺のことを意味します。

「ポンジ・スキーム」の特徴は、上記記載のとおり実際には資金運用を行っていないので、後から参加する出資者がいなければ配当を渡せないことから、いわゆる自転車操業の状況に陥り,最終的には破綻する点にあります。

「ポンジ・スキーム」によって投資詐欺を行う手口としては、まず元本保証や高利率・高配当を謳うことで資金を集めに行きます。

しかし、実際には資金を運用していない以上、新たな出資者が集まらない限り、いずれ出資されたお金はなくなるということになります。

破綻する流れとしては、支払期限が遅れたり、また、支払額が予定していた金額より少なかったりすることから始まります。
その後、問い合わせても、何かと言い訳をつけてまともに回答されることも徐々になくなっていきます。
結果、最終的に連絡することもできなくなることが一般的です。

投資詐欺に遭わない対策としては、まずそもそも「投資」とは、成功すればリターンが返ってくる一方、失敗すればリスクがあることを理解しておくのが何より重要です。
そして、リスクが少なくなればなるほど、その分リターンも少なくなるのが当たり前です。

ところが、投資詐欺を働く者は、ローリスクかつハイリターンであることを装って騙してくるのが通常です。
今回のケースでも、極秘や紹介限定など希少性を謳い、短期間で資金回収が可能とし、仲間意識を持たせることで、 ローリスクかつハイリターンな投資であることを伝えてきています。

特に、ローリスクかつハイリターンであればあるほど、投資詐欺の疑いが高いのでより注意が必要でしょう。

一方、今回は全額返金とはならなかったものの、交渉にて8割返金された事例でした。

今回の「ポンジ・スキーム」に類似する投資詐欺は、前述のとおり相手方は自転車操業の状態ですので、いかに迅速に粘り強く交渉するかが鍵になってきます。
その際、場合によっては、口惜しいながらも一定程度譲歩してまでも、相手方に早く返金させるのがポイントになります。

今回のケースでもあったように、相手方会社の状況は時々刻々と変わり、いつ倒産・破綻するかもわからないので、お金が回っている間に最優先で返金すべきと理解させるのが重要となってきます。
そのための交渉材料として、一定程度譲歩する提案を行うことで優先して返金されるかどうかが変わってくるからです。

たしかに、もちろん全額返金されることが理想ではあります。
しかしながら、頑なに全額返金を伝えることで、そのまま先延ばしにされ、倒産や破綻されてしまえば、1円も返金されません。

そうであれば、一定程度譲歩する方が、相手方もこちらの請求に対して返金すれば1件問題が片付くと考え、優先して対応することがままあります。
その意味で、今回は当事務所の実績とノウハウが功を奏した事例でした

なお、投資詐欺における相手方は日々状況が変わってきますので、いつご相談・ご依頼いただけるかによって、対応方法が異なる点にはご理解いただく必要があります。

具体的には、今回のケースのように相手方がまだお金が回っている状況であれば、交渉の余地があります。
他方、既に破綻や倒産寸前の状況であれば、交渉のテーブルにすら乗らないリスクがあります。
その状況にある場合は、交渉ではなく訴訟提起や刑事告訴を選択せざるを得ないケースもあります。

最後に、もしポンジ・スキーム投資詐欺に遭ったかもと思った場合には、遠慮なく当事務所にご相談ください。

Bio

弁護士 刈谷龍太

グラディアトル法律事務所代表弁護士。
中央大学法科大学院修了。2012年弁護士登録。
離婚・労働・ネット・消費者被害など一般向けのトラブルから、企業法務や経営サポートなど幅広く担当。